入試を振り返って(その2)
新しい生活が始まって1ヶ月。
皆さんは新しい学年・学校には慣れた頃でしょうか。
今号は前号から引き続き、入試を振り返ってみましょう。
今回はTs君。
彼が桜葉塾にきたのは小5の秋。彼もまた全く国語ができなかった。
典型的な理系頭なので物語文が特に読めず、変な解釈を勝手にしてしまう生徒さんだった。
しかし一方で、ご両親には、「彼には寮生活をさせ、勉強だけでなく人間関係の大切さを学んでほしい」という強い決意があった。
そこで、まず説明文や論説文の論理的な話から始め、段々と物語、随筆文を入れていった。
だがやはり理解が固い。
それでも伸ばさなくてはならない。
ただ、彼には根性があった。
桜葉塾の宿題も毎回一生懸命にやってくる。疑問点には付箋がつけてあって質問が書いてある。
それをアシスタントの先生が添削し、彼が納得するまで解説した。
はじめのうちは、本質から外れた質問が多い。
しかし客観的には的外れでも、解説を重ねれば問題点が浮き彫りになる。
そしてやがては大切なところに辿り着けるだろうという希望があった。
また、彼は自分の意志で努力をしてくる。
宿題だけでなく、他の塾の問題や過去問を演習したものを持ってきてくれるのだ。
この生徒さんは何とかせねばならない。何とかして合格させたい。それが彼と関わる全員の希望となった。
そして授業後1時間近く解説する間、お父様もしくはお母様は外で待っていた。
冬も近づくと流石に寒くなる。
しかし、私たちが中に入るように勧めても、決して中に入って暖まることはなかった。
親の子供への気持ちというのはすごいものなのだ。
12月には海陽中の受験が始まるまでが彼の授業だった。
その頃には、ただ真面目なだけではなく、文章を味わいながら解けるようになってきている成長した彼の姿があった。
最終結果 鹿児島ラサール中学