心を保つために T
この高度に成熟した資本主義の世の中で生き抜いていくことは、容易なことではない。
一日一日、精一杯働く。
顧客の方々の話を聞き、これからの道筋をつけていく。先生方と打ち合わせをして、気持ちよく仕事をしてもらう。
日々やってくる相談ごと。トラブルになるときもある。一日で体だけでなく、心も神経も擦り切れてしまう。
加えて結婚をすると、妻や子供のことも支えていかなければいけない。お金だけ運べばいいというわけにはいかない。
僕自身は、仕事では人に気を使えるものの、家庭に帰ると神経はもう使えなかった。
だから、その疲れ切った状態で、どうすれば妻を支え、子供たちを明るく健やかに育てていくことができるのか、長い間考え研究してきた。
前回、人を受け止めるときは
@下腹部に力を入れ
Aお尻の穴をきゅっと締め
B肩をすうっと下へ落とす ことが大事だと書いたが、実際そうすると、妻がたとえマイナスの感情を持っていても、
その気持ちに惑わされることなく、冷静に話を聞くことができ、お互いに適切な答えを出すことができるようになったのだ。なぜか。
人間は、腹が立てば、頭に血が昇る。
悲しい時は、血の気が引き、顔色は青ざめる。
悔しければ泣きたくなる。恥ずかしければ、顔が赤くなる。
その一連の流れを追ってみると、日々起きた出来事をまず、心が受け止める。
その後、怒りや悲しみ、悔しさ、恥ずかしさといったマイナスの感情が心に生じるのだが、このマイナスの感情は、神経・血液にまで影響を及ぼす。
「血が昇る」「青ざめる」「むせびなく」「赤くなる」などの表現は全て、そのことを意味している。
だから普段は頑強な政治家であっても、自分で受け入れられないような出来事に出会うと、入院してしまうのだ。
そんなときでも
@下腹部に力を入れ
Aお尻の穴をきゅっと締め
B肩をすうっと下へ落とす ことをする。
そうすると、肩がすうっと下に落とすことで、横隔膜が急激に上昇して、心臓を圧迫するのを防ぐことができる。
結果として、心が出来事を受け止めて、マイナスの感情が生じても、神経や血液にまでその影響が伝わりにくくなるのだ。
逆に肩が上がると、心で受け止めたものを、何倍にも大きくして、神経に伝えてしまう。
心で受け止めた出来事や感情を、神経や血管に伝わりにくくするためには、横隔膜が上に上がった状態にしてはいけない、つまり肩をいからせてはいけないのだ。
どんなに腹が立つように思えることでも、冷静に考えれば、必ず解決方法がある。
しかし、腹が立つからといって腹を立てて、心だけでなく、神経や血液にまで、その怒りを何倍にもして伝えてしまうと、逆に冷静にはなれなくなってしまう。
お互いに意地になり、傷付けあうことになる。
私も始めは、そのままけんかになることがあった。
正直に言えば、今もある。
だが10回に半分以上は冷静に受け止めることができるようになった。
自分にとって耳が痛いことでも、また、妻が子どもの学校で知り合ったお母さんの人間関係の愚痴でも、笑ってひたすら聞けるようになった。
この技術を身につけたことで、時に、崩れそうなくらいに様々な事が起き続けた時でも、人を受け止めることができるようになった。
仕事上でのトラブルも家庭でのトラブルと同じように冷静に受け止めて、顧客の方や先生方と解決方法を考えぬいていくことが出来るようになったのだ。
そして、最近は、子供のことも冷静に受けとめられるようになった。今までは、気がつくと感情的になったり、冷たくしてしまっていた。
しかも、全く私の母親と同じやり方でやってしまっていた。
しかし今は、肩をすうっと下へ落とすことで、子供に何をしたらいいのか、何を言ってあげたらいいのかを考えて、言葉をかけることができるようになった。
すると不思議なのだが、息子も答えてくれるのだ。最近、自分も成長したなーと思うのは、このことなのだ。
そして、もう一つ、上の@〜Bのこと以外で、心を保つために私がしていること。
それは、心のそうじである。
それについては、また次回。