結婚について W
人は、幼いころは親が与えてくれたものを土台にして、そして大人になってからは自分の力で、生きていかねばならない。
大人になってから土台とするものは、親が与えてくれたものに限らない。
子供のころに接した教師や大人たち様々な人たちが与えてくれた価値観が、その人の土台になる。
そうした価値観の中には、生きていく上で希ましいものもあれば、否定的でマイナスに働くものもある。
それらのうち、希ましいものは残し、マイナスに働くものは断ち切る。
これが結婚を、いや結婚というよりも人生を充実した生きがいのあるものにするために必要なことだ。
だから、まずは「負の価値観は断ち切る」と強く思うこと。そう決めるだけで人生が変わってくる。
そして、次にやることは、実際に生きていく中で、「プラスの価値観を選択すること」。
そうはいっても、最初はどうすればいいのかわからない。
それまでの感性で考えて動いてしまう。
でもそうすると何も変わらないし、何も変えることができない。
それでは、具体的にはどうすればプラスの価値観で生きていけるようになるのかというと、
まず、「日常生活では肯定的な言葉を使い、否定的な言葉は決して使わない」ようにすることだ。
「肯定的な言葉」とは、聞いていて心地のよい言葉、勇気の出る言葉、明るい気持ちになる言葉のことで、
「嬉しい」「楽しい」「よかった」「助かった」「おめでとう」「ありがたい」などが挙げられる。
逆に否定的な言葉とは、聞いていて不愉快になったり暗い気持ちになる言葉のことで、
例えば、「悲しい」「苦しい」「もうだめだ」「腹が立つ」「ムカつく」「殺す」「あきらめる」などがそれにあたる。
私の場合、学生時代には肯定的な言葉と否定的な言葉が入り混じっていた。
勉強ばかりしていたので受験勉強や入試に関しては、「がんばろう」「やればできる」「やれるだけやろう」といった肯定的な言葉を使っていたが、
日常生活や学校では否定的な言葉を使っていた。
「あいつムカつくよね」とか「かっこつけてるよね」とか、半ば人を中傷する言葉を使っていた。
いろいろ悩みながらも、明るく希望を持って進んでいる人たちをうらやましく思い、「どうせ俺にはなれない」「こいつらは恵まれてるんだ」とひねくれていた。
否定的な言葉を使っていると心が荒れてくる。
また、集まってくる人も同じようなひねくれた人ばかりになる。
結果、ますます心が荒れた状態で固まってくる。
人は言葉で思考し、言葉で行動を決める。
そして、感情もまた、言葉によって左右される。
例えば、朝、出かける時に石につまずいたとする。
その時に肯定的な人は、「すりむいただけでよかった。これで仕事に行ける。よかった。」と思う。
しかし否定的な人は、「ちぇ、今日は始めからついてない。ケチがついてしまった。やる気がそがれるな。」と思う。
両者のうち、どちらが幸せでいられるだろうか。
生きている限り出会う様々なことに対し、常に肯定的に考え、肯定的な言葉を使うこと。
ささいなことにみえるこのことが、長い目で見たときには、大きく人生を変えていくのである。
さて、肯定的な言葉を使うようになると、社会での人との関係はスムーズにいくようになる。
どんな人でも私と話しているときには、決して不快な気持ちにならないだろう。
むしろ苦しい状況にあったとしても、崩れかかっている時だとしても、もうだめだ!という時だとしても、
その時々の状況に応じて希望がみつかり、勇気が湧いてくるはずだ。
それは私が決して否定的な言葉を使わず、気持ちのよい、前向きになれる、勇気が出る言葉だけで話すからだ。
だが、そんな私であっても、家族や妻との関係では、時に利害が対立したり、意見が食い違ったりする。
そしてささいな段取りがうまくいかないときには、腹が立ったり、情けないと思ったり、許せない!と思ってしまう。
なおかつ「腹が立つから腹が立つのだし、情けないから情けないと思うのだ」と開き直ってしまう。
つまり、仕事では肯定的に考えられても、家庭では同じようにできない時があるのだ。
では、どうすればこの性懲りもなく出てくる怒りや苦しみを無くせるのか。
私は結婚して10年くらいたったころから考えはじめて、13年目くらいにある方法を発見したのだ。
その方法については、次回。